Kobayashi Clinic kobayashi Clinic
home aboutus services news contactus member
    allow コラムメインページへ
  がんの予防と治療:ビタミンC点滴の効能 その3  
     
 

 高濃度ビタミンC点滴の効能で最近注目されているのは癌に対する効果です。ビタミンC点滴には癌を予防するばかりでなく、癌細胞を破壊する働きのあることがわかってきました。

 私達の身体に過剰な過酸化物質がたまると、内蔵や組織の正常細胞に傷をつけ癌細胞が生まれます。この過酸化物質を体内に貯める悪さをしているのが酸化ストレスで、放射線被爆などの物理的刺激、発癌物質などの化学的刺激、加齢による身体の老化などが含まれます。ビタミンCには強力な抗酸化作用があり、酸化ストレスを減らすことにより癌を予防すると考えられます。

 ビタミンCがユニークなのは、強い抗酸化能を持っているのに、細胞内に取り込まれると強力な酸化物質である過酸化水素を作ることです。過酸化水素は細菌やウィルスを殺菌する役割がありますが、過剰に作られると細胞にダメージを与えてしまいます。正常の細胞には過酸化水素を中和するカタラーゼという酵素が十分にありますが、癌細胞ではこのカタラーゼの活性が低いため、過剰な過酸化水素が作られると癌細胞は死滅します。さらにビタミンCの構造はブドウ糖に似ており、正常細胞よりもブドウ糖の取り込みの活発な癌細胞により多くのビタミンCが侵入するため、癌細胞ではより多くの過酸化水素が発生します。従って適切な量のビタミンCを点滴投与すると、正常細胞にあまりダメージを与えることなく選択的に癌細胞を破壊できます。70年代にビタミンCの抗癌作用に最初に注目したのはノーベル化学賞を2回も受賞したポーリング博士でした。当時は世間に受け入れられるのが難しかったビタミンCの抗癌仮説も、その後30年の時を経て、最近再び大きく注目されつつあります。

 ビタミンCの抗癌作用には高い血中濃度が必要ですので、25-75グラムの量を短時間に投与する超高濃度ビタミンC点滴療法として治療が行われます。残念ながら、ビタミンCのサプリメントを経口摂取しただけでは十分な濃度は得られません。健康な人が美肌や若返りのために定期的にビタミンC点滴を続けていると、発生したばかりの少数の癌細胞を破壊してくれることも考えられ、抗酸化作用と合わせて、知らぬ間に癌の予防もできているということになりますね。

 このように抗癌作用が期待されるビタミンC点滴ですが、この治療は手術や放射線、抗癌剤といった従来の抗癌治療に単独で置き換わるものではありません。あくまで標準的治療を優先させるべきであり、また補助療法としてビタミンC点滴を導入する場合にも、癌治療の担当医によく相談することがとても大切です。

 

 

 

 

 

Copyright © 2010, Kobayashi Medical Clinic All rights reserved.