Kobayashi Clinic kobayashi Clinic
home aboutus services news contactus member
    allow コラムメインページへ
  これはイボなの? 脂漏性角化症のはなし  
     
 

 誰でも加齢により顔の皮膚が老化してきます。コラーゲン産生など皮膚の代謝が低下するばかりでなく、皮膚の細胞のDNAを傷つける紫外線の影響が長年にわたり蓄積され、シミやシワ、タルミなどができてきます。

 紫外線によるシミは実は皮膚の奥にある細胞へのダメージを抑えるための防御反応という見方もあります。皮膚の浅い層にあるメラニン細胞が紫外線に反応して色素を産生しシミを作り、奥にある大切な細胞への紫外線の照射を妨げるからです。老人性色素班という不規則な形をした平べったいシミが皮膚の薄い女性にできやすいのもそのためかもしれません。老人性といっても必ずしも高齢者だけに見られるわけではありません。20才代でできる人も少なくありません。

 この老人性色素班を放置するとどうなるのでしょう。このシミは加齢によりさらにメラニンが増えて色が濃くなると同時に、角質層が増生し厚くなりいわゆる脂漏性角化症になるとされています。これが高齢者の顔によくみられる褐色や黒色をした盛り上がったイボのようなものの正体です。すなわち若い人の老人性色素班と高齢者によく見られる脂漏性角化症とは本質的に同じものと考えられます。老人性色素班の最良の治療はIPL(フォトフェイシャル)であることは以前にもお話しました。若いうちにこのシミの治療をしておくと、後でイボのように目立ち易い病変になることを予防できるはずです。

 すでに出来上がった脂漏性角化症にはどのような治療があるのでしょう。脂漏性角化症はかなり厚みがあるように見えますが、実はその変化は主に浅い角質層で起きているので治療はあまり難しくありません。一つは液体窒素を使う方法で、適当な道具を使って極低温の液体を患部に当てると変性を起こし、いずれ脱落します。手や足のイボでよく行なわれるのと同じ治療法です。ただ、低温の及ぶ深さをコントロールするのが難しいため、特に顔では過度の治療とならないよう注意しなければなりません。イボは取れたけれどもケロイド痕が残るというのでは困ります。

 この脂漏性角化症の最も安全で効果的な治療は、老人性色素班と同じようにIPLやレーザー療法とされています。IPLを照射すると数日で色が一時的に濃くなりますが、1週間もするとはがれ落ちます。施行後の瘢痕の心配もまずありません。適切な治療をすれば、ほとんどは1-2回の治療できれいになります。シミを治療した後のお顔は全体に明るくなりとても若返った印象を与えます。但し、高齢者の顔にできるシミは皮膚癌との鑑別が難しいことも少なくありません。経験の豊かなドクターにしっかりと診てもらいましょう。

 

 

 

 

 

Copyright © 2010, Kobayashi Medical Clinic All rights reserved.