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  顔のシミ治療の難しさ  
     
 

 若い頃は透き通るようなキレイなお肌をしていたのに、加齢とともにお顔のあちこちにシミができてしまう。この女性の悩みを解決するためにいろいろな医療機器が用意されています。その中で最も有効なのが、レーザー治療と光(IPL)治療です。レーザーにも様々なタイプがあります。例えば、体質により年頃になるとお顔にシミができてくる太田母班や後天性真皮メラノサイトーシスなどには、通常のレーザーは有効ではなく、Qスイッチレーザーという道具が必要です。いくら光治療を繰り返しても効果はありません。

 思春期以降の女性によく見られるシミは、そばかす、炎症後性色素沈着、老人性色素班、肝班、脂漏性角化症の5つです。実際にはその鑑別の難しいことがあり、また厄介なことにいくつかのシミが混在することも少なくありません。治療を間違えるとシミが良くならないばかりか、むしろ悪化することさえあります。例えば、 レーザー治療と光治療はそばかす、老人性色素班、脂漏性角化症には有効ですが、炎症後性色素沈着と肝班には効果がありません。

 では正しい診断を付け、スタンダードな治療法を選べば良いかというとそれだけではありません。同じ診断名であっても、シミの分布や深さ、色調の違い、治療後の色素沈着の起きやすさなどは人様々です。例えば、老人性色素班に対して光治療をするとしましょう。皮膚の浅い部分のシミは比較的容易に反応します。1週間ほどで黒いカサブタのようなものができ、その後自然に脱落しきれいになるのが典型的な経過です。同じ老人性色素班であっても深層にあるシミは、光治療によりメラニン色素が反応し黒くなったとしても、それが表面に上がり脱落するまでしばらく時間がかかります。そのため、シミが治療により悪くなったように見える時期があります。また、レーザー治療によりシミがきれいになったとしても、油断していると同じ部位に似たような見かけの炎症後性色素沈着というシミがでてくることもあります。

 私達も治療前からすべての効果を予想できるわけではありません。意外な反応に戸惑うこともあり、そうした経験の積み重ねを将来の施術に生かしていきます。照射の強さを微妙に変えたり、治療の間隔を調整したり、経口薬を前投与したり、特殊なクリームで術後の色素沈着を予防したり、術後に皮膚の代謝を促進するクリームを使ったりなど、治療の内容を細かくアレンジしていきます。

 人の数だけ、シミのバリエーションがある。シミ治療の難しさはそれにつきます。各々に適切に対応することができるか、それは治療を担当するドクターの技量です。 

 

 

 

 

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